汚し塗装で現実感を引き立てる鉄道模型のウェザリングとは
鉄道模型を購入した際は、きれいに塗装が施されており、鮮やかな状態です。しかし、実際に走っている車両は完成直後や検査で再塗装が施された直後以外では、風雨にさらされ、埃や汚れがついた状態で走っています。鉄道模型を楽しむ人も実際に近い鉄道を表現したいのであれば、少々の汚れを施す「汚し塗装」を行う必要があります。汚し塗装はウェザリングと呼ばれることもあり、鉄道模型に限らず、戦車や飛行機を使ってジオラマ製作をする際にも欠かせない技術です。
鉄道模型で汚し塗装をする際には、汚れを入れる場所がポイントになります。これは、実際に列車を見るとわかりますが、天井部分であれば、パンタグラフ周りや汚れの付着の防止をするためのパンタグラフカバーが特に汚れています。ディーゼル機関車であれば、エンジンの排気が出る部分に汚れが多く、汚れも走行によって飛び散るため、汚れの付きやすいエリアがあります。そのため、汚し塗装をする際には、実際の車両をよく観察し、どの部分が汚れているのか、汚れが何によって起きているのかを理解して行うことが大切です。
また、車両だけでなくレイアウトにもウェザリングが必要になります。線路も車両の通過によって汚れが付きますし、蒸気機関車が走るような風景を作りたいのであれば、トンネルの入口(トンネルポータル)の上の部分が煤で汚れていなければいけません。線路もたくさん列車が走るような線路は綺麗ですが、駅の引き込み線や留置線は、他の線に比べると使用頻度が低いのでさびて汚れていることが多いです。これも実際の写真を見て、どんな風景をイメージしたのかということを考慮して、汚し塗装をする必要があります。
汚し塗装をするときには注意もあります。鉄道模型の場合、ほとんどが2本のレールから集電をしています。この集電部分が汚し塗装やウェザリングによって覆われてしまうと集電効率が悪くなり、走行できなくなります。車両も同じで足回り部分は、車輪に汚れがつかないように慎重に行う必要があります。